wjproducts 「相手は鏡」投影の本当の意味
「相手は鏡」と言うけれど
よく「相手は鏡」という言葉を聞いたことがあるかと思います。心理学で言えば、「投影」のことです。
投影とは、簡単に言えば、自分の内なる部分が、ある対象に映し出される、という意味です。その対象は、人であったり、事象であったり、自分以外の何でも、です。
ある人は「相手は鏡」や「投影」をの意味を誤解してこう言います。相手の言動に不快に思ったら自分にも同じ部分があるからそう思うのだ、と。
同じ傾向があるから、というよりも、そのようなケースもありますが、違うケースもある、という表現のほうが正確です。
つまり相手を通して、自分の内なる部分で気付くことは様々である、ということ。一つに限ったことではありません。
投影の本当の意味
例えば、ある人にしつこく接されてすごく不快だったとします。
それを誰かに話したら、「それは投影で、あなたもしつこい部分を持っているから、そう感じるのですよね」と言われました。
しかし、自分の人付き合いを振り返ったら、あっさりスッキリした関係を好みますし、むしろ粘着体質な人は苦手です。
この場合、相手のしつこさに投影されたことがあるなら、「人間関係に関してはしつこくしてはいけないと思っている」という価値観を、相手を通して知ることができたのです。
投影の本当の意味は、その対象の事象を通して、自分の中で「何か」が映し出される、という意味であって、相手がしていることが自分の中にある、と決めつけてしまうのはとても危険。
もちろん、そうであることもありますが、対象の何かにより、自分の内側に何かが映し出されます。
必ずしも、相手がしている行為が自分と同じではない、ということです。
その感情の背景は何か？
相手や事象を通して自分の内なるところにイラ立ちが起きた時に、そのイラ立ちが投影である、というより、そのイラ立ちの背後にあるものが何か？というのが本当の投影です。
例えば、威圧的で違う意見への否定が強い人を見て、不快極まりないのは、なぜそう感じるのでしょうか？
何が投影されているのか？と考えた時、もちろん単純に考えたら、自分の中に同じ部分があるから、で終わりになるところですが、それでは意味がありません。
そこから、人に対して寛容でありたいことや、人との価値観の違いを大切にしている、という価値観を自分は持っているのだ、ということに気づけます。
相手がしていることに反応したら、すべてそれは自分も持っている、と安易に解釈するのではなく、その事象に何かが映しだされるのであって、映し出されるものの意味は重要である時もあれば、そんなに重要でない時もあるでしょう。
しかし、世の中全ては解釈と認知で自分の世界が作られているので、投影がない、ということはなく、何かしら感じている、思っている、素通りしていていも、そこには、対して反応していない、というだけの話です。
何でもかんでも、反応するから自分にそれがある、というわけではないことを覚えておくといいでしょう。
答えは自分で見つけるもの
そして、カウンセラーやコーチの場合、相手の何か投影しているものがわかった時「あなたがそう感じるのは、あなたの中に◯◯があるからです」と決めつけた言い方をしたり、自分の答えを押し付けたりしないようにしないことです。
答えは自分で見つけるものであり、自分で気づくものだからです。そうでなければ意味がありません。
与えられた答えより、自分で気づいたことのほうが遥かに重みがあり、価値があります。他人から答えを聞いてスッキリしても、それは一時的です。
そして、セッションの目的というのは、相手をスッキリさせることでも、泣いてもらうことでもありません。感情的でなく、理性的に、かつ潜在意識にアプローチをかけます。
セッション中はモヤモヤで終わることがあったとしても、そのモヤモヤは自分でそこから抜けるための答えを探そうと働きます。
上級レベルのコーチになりますと、モヤモヤさせるための質問で終わることもあります。その人自身が答えを見つけ出すために。
もし、なにか投影していることを見つけたとしても、伝え方としては
「あなたの場合、私には何かはわかりませんが、この場合だと、〇〇のケースもありますし、✕✕のケースもありますし、はたまた全く違った何かかもしれません。今の段階であなたの場合は、何だと思いますか？」でいいのです。
決してしてはいけないのは、「あなたはこうです！」という、自分の経験とフィルターを掛けたまま答えを決めつけて与えないことです。
投影を通じて新たな自分を知る
いかがでしたでしょうか。
自分自身が相手を見て湧き上がる感情から、そこに何を投影しているのかを覗いてみるのは、ちょっと興味深い経験になるかもしれませんね。
どんな自分の内なるものが現れるのか、楽しみながら、自分自身を深めてみてください。